第6章 : AI黒船の来航と2極化する働き方

【ポイント】

  • AI黒船』の来航による価値観ゲームチェンジ
  • AIの普及により、未来で「2極化」する働き方
  • ニュータイプのエンジニアを育てるためには?

第6章 : AI黒船の来航と2極化する働き方

平成元年 世界企業時価総額ランキング

トップ30中 22社が日本 (1~5位独占)だったのに対し、

平成30年 トップ30社中 0社! (トヨタですら45位)

ほとんどがアメリカと中国に占められ、

銀行や、資源、製造業などの

重厚長大型の企業は全て取って変わられています。

アメリカもトップ5は全て

IT(情報技術)系に入れ替わっています。

そしてすでに

AI黒船』は日本に来航し、

日本の産業界に影響を与えつつあります。

あなたも確実に社会は変わっている。

という実感がありませんか?

実際に、強かった日本企業は

5章で述べた

日本と国際人のサバイバル価値観の違いによって

見事にゲームチェンジされてしまいました。

『生活の質』の第一条件が、

『高度成長期のまま得意分野の「豊かなモノづくり」にある』

と信じた日本は

モノ⇒情報サービスへのゲームチェンジで遅れをとり、

『モノの価値』においても、

得意分野の「品質と精密」を追求した日本は、

イノベーションにより世界の流行操作の主導権をとられ、

価値観のゲームチェンジにより孤立(ガラパゴス化)し、

リーディングカンパニーの座をあけわたしてしまいました。

さらに国際関係においては、

関係を出来るだけ良好に保とうとする日本は、

関係を壊さない限り、出来るだけ自国優先する形の外交に苦戦しています。

そして、

最近よく言われているように

これからAIがどんどん進歩してくると

人間の働き方が変わってくるでしょう。

働かなくても良くなるという考えもあるし、

仕事が無くなるという考えもあります。

エンジニアの視点から見ると

どちらもちょっと違います。

これからの働き方は

AIをベースとして2極化する。」

というのが、確実な実感です。

早ければ2030年過ぎには

AI1人の人間の処理能力を超える

プレ・シンギュラリティ(技術特異点)を迎え、

2045年ごろには

AIが全ての人間の処理能力を超える

真のシンギュラリティを迎えると予想されています。

実際、僕のやっている

自動車の開発の仕事でも

昔は手計算していた、衝突や

耐久性の計算は全てコンピュータです。

設計作図する作業も、基本条件を入れると

AIが大まかに描いてくれます。

「人間が考える実務」がどんどん減っている実感

があります。

つまり、僕の様な「オールドタイプのエンジニア」

AIに代替されるか、

AIによってシステマチックかつ簡素化された

『指示に従って遂行(Action)する』形で働く

ことになっていくのです。  

そして、

労働の対価として報酬をもらうことになるでしょう。

一方で、

未来の社会ではどんな車の機能が求められるか、

とか、

そもそも、車が果たす役割はどう変わるか?

といった、

「抽象的で、正しい答えのない問題」を考える機会

が増えてきました

当然これらには正しい答えはないので、

これらの仕事をする人たちは、より社会を発展、貢献させる

『価値ある技術・考えを生む』ことが

働く目的になります。

この『ニュータイプエンジニア』への報酬は

労働の対価(給料)というよりは、

価値の創出(という投資)への『リターン』のような形になっていきます。

実際、僕の会社でもその方式が、採用されつつあります。

労働(使った時間)への報酬に対して、

創出(生んだ価値)への報酬は大きく異なります。

  へたをすると文字通り『桁』違いです。

つまり、次世代での働き方は

社会・時代が求める抽象的なビジョンを

Actionに具現化する、ニュータイプと、

Actionを遂行する、オールドタイプの2極化です。

どちらが優れているとかなく

自分の好きな働き方を選べばいいのです。

前者は、イメージを実現する楽しさがあり、

後者は、現場感、肌感を味わうといった楽しさがあります。

ただ、はっきりしているのは

オールドタイプはニュータイプの仕事は出来ません。

そして、

ニュータイプは大人になってから

自分でなろうと思ってもなれません。

僕が日々イヤと言うほど実感しています・・・。

お子様がいらっしゃるあなたにお聞きしたいです。

親であるあなたは、

今どんな仕事をしていますか?

どんな働き方をしていますか?

ほとんどのケースでオールドタイプの働き方だと思います。

そういう社会だから普通ですよね。

では、今だからこそ聞かせてください。

将来あなたのお子様に

『どんな大人になって欲しいですか?』

あなたと同じ仕事、働き方をお子様が選んだとしても

それは素晴らしいことだと思います。

(そういう意味で、オールドタイプという言い方は失礼なのですが、

ニュータイプの対義的に使っているだけです)

しかし、

AIの進歩によって、間違いなくやってくる

働き方の価値観のゲームチェンジが起きる社会に備えて

必要とされる能力は何か?

それを伸ばすために、今から子どもへの教育は

何をすればいいのか?イメージできるでしょうか?

小中高大と、命を削って受験勉強をしているだけで、

AI社会に出ても大丈夫だと思いますか?

ニュータイプは

親が『そうなるべく育つことの出来る環境』を

用意してあげなければ育ちません。

そして、ひとたびその適切な環境を整えてあげれば、

子どもは自ら楽しんで適応しニュータイプ

(いわゆる天才型)になっていくものなのです。